桐の木

御所人形の制作法」にも書いていますが、
伊東家の御所人形は初代庄五郎の時代から現在まで、
変わることなく桐の木を素材としています。

素材である桐の木

代々続く陶芸の家が、子や孫の世代のために土を買い足されるのと同様、
伊東家でも使った分の桐の木は買い求め、補充しておきます。
と簡単に言っても、板状に加工したものと違い、
丸太のままのいいものはなかなか手に入りづらいのが実状です。

ところが先日、ある方からお声掛けいただき行ってみると、
そこには想像をはるかに上回る素晴らしい木が待っていました。

見事な外観

長さ8尺以上もある見事なもの。
しかも上から下まで、驚くほどまっすぐ伸びています。

見事に通った木目

木目も完璧。
木肌も今まで見たことが無い白さ。
これほどのものはめったにお目にかかれません。
迷うことなく譲っていただくことにしました。

温暖化の影響などもあり、今では希少となった目の詰まった国産の桐。
乾燥も十分ということなので、
来年の展覧会の作品にも少し使ってみたいと思っています。

見事な一枚板

ちなみにこちらでは数か月前にこんな立派な桐板も手に入れました。
理想的な板目。さらに長さなんと5尺!

久重が以前から構想を練る作品に、どうしても必要だった超幅広の一枚板。
最高の素材に巡り会え、今から素晴らしいものができそうな予感がします。

彫刻刀 ②

上彫りに使う彫刻刀

これらは顔の細かな部分を彫るときに使う数本。
一番右は「生反」(なまぞり)と呼ばれる珍しいものです。
もともと家にあったものなので、
いつ、誰が使っていたものなのかよくわかりません。
あらためて考えると不思議な感じです。

彫刻刀 ①

粗彫り・中彫りに使う彫刻刀

これらは粗彫りから中彫りにかけて使う数本。
右から2番目のものは刃が長く、
普通の人はあまり使わない形だと思います。
仕事を始めたときに父に買ってもらった記念の一本。

しらたま完成!

3月4月5月と工程を追ってきた
久重の「しらたま」が完成しました。

しらたま

天気がよかったおかげで、
「胡粉塗り」からここまで、とても順調でした。
いつも完成の瞬間は「ほっと一息」ですが、
それもつかの間、すぐに旅立っていきました・・・

「上塗り」以降の工程については
御所人形の制作法」の「制作工程 ⑥」、「」で。

その後のしらたま ①

3月30日に紹介した
「しらたま」の地塗りがようやく完成しました。

地塗り中のしらたま

天気のいい日が続いたので、順調に塗れました。
今回は気温や湿度を考慮し、32回塗り重ねています。

全体が筆目でデコボコしているのが見えますか?
これを根気よくサンドペーパーで磨いていきます。
くわしくは「御所人形の制作法」の「制作工程 ④」で。