時代風俗人形について

御所人形の制作が本業である伊東家において、等身大の時代風俗人形の制作は 九世 久重 の頃に始まります。

当時、京都御所では特別公開の際、皇室ゆかりの装束などは衣桁に掛けて並べただけの状態で展示されていました。これを人形に着付けて展観したなら、素晴らしいものになると考えた宮内庁からの依頼を受け、伊東家では等身大の人形を制作することになりました。それは「時代風俗人形」と名付けられました。

京都御所一般公開 小袿姿

京都御所一般公開 小袿姿

その後、十世 久重 は時代風俗研究の大家、猪熊兼繁氏、江馬務氏、吉川観方氏らとともに研究に取り組み、今日の時代風俗人形の礎を完成させました。

京都御所一般公開 束帯姿

京都御所一般公開 束帯姿

その伝統と技法は 当代 久重 にも受け継がれ、今日も京都御所をはじめ、二条城や皇室ゆかりの門跡寺院などの特別公開時に展観されています。