「制作工程 ①」、「制作工程 ②」、
「制作工程 ③」、「制作工程 ④」、から続きます。
前回、少しふれた「磨き」ですが、
実はこれが全工程中、一番ゆううつな作業です。
約30回、塗り重ねた胡粉の層は硬く、
しかも筆目のせいで表面はぼこぼこ・・・
これをつるつるになるまで磨くのはけっこうな力仕事です。
「御所人形の制作法」にも書いていますが、
「木彫りであること」は初代庄五郎以来、
伊東家の御所人形制作において最も重要なことです。
素材である桐の木。
伐採後、20年から30年ほど天日にあて、乾燥させます。
真ん中の髄の部分は使えないので、四分の一に割って保管しています。
風雨に耐えて残った強い部分のみを使用します。
木彫に使う道具です。電動のものは一切使いません。
桐の木は柔らかいので、手で彫らないと歪んだり、割れたりしてしまうからです。
その性質から彫刻家は「桐」という木を素材として用いることはほぼありませんが、
伊東家ではこのあとの工程で塗り重ねていく胡粉との相性を考慮し、
江戸時代より、代々が桐を素材として採用しています。
粗彫り途中の人形。
これは衣装を着ける予定の人形なので、手は別に彫っています。
完成後にひびが入ることがないよう、
このあといったん半分に割り、中をくりぬき、3か月ほど乾燥させます。
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