「制作工程 ①」、「制作工程 ②」、 「制作工程 ③」、
「制作工程 ④」、「制作工程 ⑤」、から続きます。
「磨き」と「切る」工程が終わるといよいよ「胡粉の上塗り」。
胡粉を塗る作業の最終仕上げ、大事な工程です。
「上塗り」の胡粉は3種の配合を用いて、約10回塗り重ねます。
「地塗り」とあわせると約40回、塗り重ねていることになります。
ちなみに「地塗り」の胡粉も3段階、配合を変えています。
もちろん「上塗り」は最終仕上げなので、
「地塗り」と比べて、かなり薄い配合になっています。
ほこりがつかないよう、細心の注意を払い慎重に・・・
かつ、刷毛目がつかないよう手早く・・・
ということで、無事に「上塗り」が完了しました。
気候のいい時にしか塗れません。晴れの日続きで、五日ほどかかります。
ところで上の写真の人形、光ってないのがおわかりでしょうか?
実はこの「上塗り」だけでは人形はまったく光りません。
さらに「ぬぐい」という工程が待っています。
人形に息を吹きかけ、さらし木綿などを使って「ぬぐう」のです。
時間をおいて3回ほど、「ぬぐう」ことによって独特の光沢が出てきます。
江戸時代、人は人形師が胸元に人形を大事に抱え、息を吹きかけ磨く姿を見て、
「人形師は人形に魂を吹き込んでいる」と言ったそうです。
「ぬぐい」が終わりました。
うわぐすりや特殊な塗料などを塗らなくても
きちんと配合された胡粉を塗り重ねた人形は「ぬぐう」ことによって、
深みのある光沢が出てくるのです。
ついに「胡粉塗り」を終えた人形。
このあとは、いよいよ最大の難関、「顔描き」です。
作品の完成まで、登山でいうと「7合目」ほどの地点です。
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